【64】ゲームプラットフォームの過去と未来

柴田 真人

 ゲーム業界の過去からの歴史を簡単におさらいしてみます。

 歴史は繰り返す。

 イノベーションのジレンマとプラットフォームの急拡大、IP 獲得合戦とプラットフォーム競争の激化と衰退……そして新プラットフォームの登場。

 プラットフォームは成熟と共に寡占状態となり、収益が上位の会社に集中してしまう傾向が強くなります。

 その結果、途中参入してきた会社や中小デベロッパーにはなかなか収益が回らなくなり、有名 IP や高コストで制作されたコンテンツとの差は中小制作会社には埋めにくく、結果としてここで戦えない企業は淘汰されます。

 一般的に開発会社が自社 IP で開発を始めると、コンソールの場合 1 年~ 2 年以上先でしか収益化されません。モバイルに比較的インディーズが参加しやすいのは開発期間が短いというのも 1 つの理由です。もっとも、海外のようにファンドが積極的にゲーム会社に投資してくれればよいのですが、日本ではゲームは水もの的な印象があり、なかなかゲームファンドもうまくゆきません。

 このように、日本の制作環境やファンドの環境がインディーズ系の会社にとって不利なため、生き残るのは巨大企業や勝ち組企業の受託専門となり、インディーズとしての可能性や、価値や技術力を失ってしまいます。

 これは日本のゲーム業界が繰り返してきたことで、この根本的な問題が海外との開発力の差を生んでしまっている 1 つの原因ではないでしょうか?

 今必要なことは、各プラットフォーム自体のさらなるオープン化の促進と、公平なファンド機能の強化、オープンな技術交流などが重要と考えます。プラットフォーマーは常に公平であるべきで、常にオープンであるべき。プラットフォーマーが自分たちのみの収益に強くフォーカスし始めたとき、その衰退が始まります。