【15】ゲーム創りを楽しむための 3 つのポイント
クリエイターは夢を持ってものづくりをしているとき、ワクワクしながらその仕事を楽しみます。この状態では、
- モチベーションが非常に高い
- 良い物を創るための努力(時間を含む)を惜しまない
- 良さ、楽しさの感性が非常に敏感
なので、生産性、創造性も非常に高い状態をキープします。
しかしクリエイティブな作業には、産みの苦しみもつきものです。プログラマはバグ修正や性能向上のための試行錯誤、デザイナーはテイストや全体バランスの微妙な調整、プランナーは QA チームのフィードバックに恐々としながら最適解を探して悩み続けるなど、ゴールのない手探り状態が続きます。
さらには、外的要因、例えば経営判断から事業計画に修正を余儀なくされ、自分の思い通りに進められなくなったり、予算が削られたりといった障害が押し寄せてくることもあります。また、業績の問題で給与が減り、メンタル的な影響を受けるかもしれません。家庭の問題が仕事中に押し寄せてくることもよくある話です。このようなときには、楽しく仕事ができなくなり、
- モチベーションが下がる
- つくり上げる上での打算や、やけっぱち、混乱をもたらす
- 感性が暗くなり、良し悪しの判断が鈍る
ということが起こります。程度の差はあれ、クリエイターのメンタル的な要素は、ゲームの質と関係があります。結果として、ゲームの質が低下していきます。
「クリエイターのムードがゲームに伝搬し、ユーザーにまで伝搬する」
とも言えるかもしれません。
では、ゲームの品質にクリエイターのムードが影響するのであれば、どうやってクリエイターのムードを上げればよいのでしょうか。
この十数年の私の経験(複数のゲーム会社を経て、たくさんのチームを見てきた感覚) から言えば、3 つの要素への意識が必要です。
- イメージ力
これは、できあがったゲームを楽しむユーザーの姿をイメージできるかどうかということです。子供たちの笑顔を想像したり、中高生がゲーム機を持って集まり、わいわい言いながらオンラインゲームを楽しむ姿を想像したり、夜中に PC の前でオンラインゲーム対戦に没頭するユーザーの姿を想像したり、状況は様々だと思います。しかしどれも、ユーザーの視点でそのゲームを満足気に楽しんでいるイメージが想像できれば、少々の苦しみも乗り越えてやる! という気概に結びつくのではないでしょうか。実際、言葉だけで良いゲームを創りたい、というクリエイターよりも、笑顔が見たい、とか、イメージで表現するクリエイターの方が楽しそうに仕事を表現する傾向にある気がします。 - 達成感
先行きの見えないプロジェクトはムードを非常に険悪なものにします。ですので、目標を細かく設定し、一つ一つの達成を経て、完成に近づいているのを感じられるようにプロジェクトを管理することが重要です。プロジェクト・マネージャがいる場合にはその人の最大のミッションになるでしょう。とにかく進んでいる感覚を皆に持たせることが大事です。 - 自己成長感
達成自体にフォーカスするよりは、自分が何かしらスキルアップしたことを実感できるようにすることがモチベーションのアップに繋がります。自身のプロジェクト内における課題が、自分の能力+αとなるところに目標をおいて、それを細かく達成していく。この際には各職種のマネージャの力が問われることになります。
この 3 つを意識しているクリエイターは、少々苦しくても、その先を見ることができ、創造の苦しみをも楽しむことができます。そしてそういうクリエイターが多ければ多いほど、そのチームから生み出されるゲームもより楽しいものに仕上がっていくのです。