【92】ステータスレポートは開発者に嫌がられ、マネジャーに愛される
私は世界最大のソフトウェア会社で働いていますが、開発者はステータスレポートを嫌がっていると断言できます。開発者にとって自明で冗長な情報を、毎週何時間もかけてレポートに書き下さなくてはならないためです。
プロジェクト・マネジャーであるあなたにとって、ステータスレポートはプロジェクトの進捗の全体像を把握するために使われ、上位マネジメントに伝えるデータになります。平均すると、プロジェクト・マネジャーは 5 つから 7 つのプロジェクトを同時に指揮しているそうです。あなたとあなたのシニアマネジメントチームは、こうしたプロジェクトデータを収集して伝えるためにステータスレポートを必要としています。
「あなたが必要とする頻度の」ステータスレポートを送ることに対して、開発者の抵抗を軽減するためのヒントをいくつか紹介しましょう。
- なぜこのレポートが他のチームメンバーや他の部門にとって重要なのか、理解できるようにしましょう。ほかのメンバーはチームの進捗に基づいて計画を立てる必要があります。人は仲間を助けるために熱心に働くものです。
- プロジェクトの進捗が遅れているようなら、チームが何をしているか把握しましょう。新しいツールや言語を学んでいたのでしょうか? 想定外の問題や課題があったのでしょうか? ステータスレポートをまとめるときには、ほかの人にもわかるよう、説明を加えておきましょう。
- 適切に感謝の意を表しましょう。問題や課題を把握できていれば、それほど重要ではない成果が進捗レポートメトリックスのせいで隠れてしまっていないか確認できます。計画にはないけれども役立つ貢献をした人には、近くのコーヒーショップのラテクーポンを提供しましょう。「すばらしいね、ありがとう<名前>さん」といったメールを部門全体に送ってもよいでしょう。その仕事が「全体像」にどう関係しているか、直接的なつながりを与えましょう。
- 開発者が複数いるなら、グループインセンティブを用意しましょう。「1 か月間にわたって毎週金曜日の午後 3 時までに全員からステータスレポートが集まれば、次の金曜の午後は全員帰ってもよろしい」とか「私がグループランチの食事を用意しよう」と言ってみましょう。だれも自分のせいで、チームが報酬を得られなくなることは望みません。
- 簡単にレポートを書けるようにしてください。テンプレートを用意したり、ステータスを登録するツールを準備してください。全員が理解できるよう、言葉遣いも直すようにしましょう。“lcl check-in to main build lab.” と書いても、副社長にはまず理解できません。あなたはそれを「フィーチャーマイルストーン 2 を達成。プロジェクトは予定通り」と変更しても構いません。
重要なことは、あなたが第三者の視点から、ステータスレポートを書き上げるというタスクを見ているか確認することです。ステータスレポートは重要です。プロジェクトに何が起こっているのか、全員が知っておく必要があります。シニアマネジメントはマイルストーンを気にしており、ビジネスマネジメントは予算を気にしています。プロジェクト・マネジャーとしてあなたの仕事は、ステークホルダー全員がプロジェクトに何が起こっているのか確認できるようにすることです。そして、あなたの助けなしには、ステークホルダーが全員起こっていることの技術的なニュアンスを分析できるわけではないことを自覚しましょう。
効果的なステータス入力ツールを見つけて、できるだけ多くのタスクに理解が得られるよう取り組みましょう。あなたはステークホルダー全員のニーズを満たした、総合的なステータスレポート作るための連絡係なのです。