【68】一番うまく見積もれるのはその仕事をする人である

ジョー・ゼネビッチ(Joe Zenevitch)
アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク

 ひとりがすべての作業の見積りをするようなプロジェクトを経験したことがありますか? うまくいきましたか? うまくいかなかったんじゃありませんか?  このやり方には大きな問題が 3 つあります。

 一番まずいのは、あなたがプロジェクト・マネジャーにはチームに見積りを提示する権限があると思い込んでいることです。あなたもかつては開発者だったので、適切に見積もれると思っているのかもしれません。たとえあなたが積極的に開発に関与していたとしても、よく考えましょう。先ほどのリードアーキテクトの話と同じことが当てはまります。しかも、積極的に開発していた頃から時間がたてばたつほど、あなたの見積りはどんどん間違っていきます。もし自分がよく知らない技術を使っているチームを率いているなら、自分で見積もろうなんて考えてはいけません。

 私たちのプロジェクトではワイドバンド・デルファイ法を使ってグループ見積りをしています。まず最初にビジネスアナリストがフィーチャー要求について説明するところから始まります。開発チームはそれを聞いて、疑問に思ったことをクリアにするための質問を繰り返します。初期見積りの準備ができると、各自カードに見積もった値を書いていきます。全員が書き終えたら、3 つ数えて各自カードを掲げます。

 そうしたら、どれだけ見積もった値が一致しているかを調べます。もし非常に近い見積りが得られていれば、そのなかで控え目な値を選びます。もし見積りに大きな違いがあれば、どうしてそう見積もったのか開発者に尋ねます。そして、さらに議論を重ねて、再度見積りをします。開発者のあいだには、そのフィーチャーを完成させるために何が必要なのか、共通の理解があるため、たいていの場合、見積りはひとつの値にまとまります。

 このやり方は以下のような点で好都合です。

 覚えておきましょう。一番うまく見積もれるのは、その仕事をする人なのです。