【67】約束事が明確なら友情も長続きする

マッテオ・ベッキ(Matteo Becchi)PMP
アメリカ、バージニア州アーリントン

 このエッセイのタイトルは古いイタリアのことわざ “Patti chiari, amicizia lunga”(「約束事が明確なら友情も長続きする」)に由来しています。

 この考え方は、プロジェクトマネジメント原則のさまざまな面に当てはまります。上位の方法論レベルで見ると、このことわざは、スコープ記述、目標と成果物の設定、プロジェクト定義ドキュメントの作成などの背景にある考え方を要約しています。実際のところ、プロジェクトの中間生成物はすべて、プロジェクトチームが成し遂げようとする約束事と目標を事前に提示するためにあります。

 こうした考え方を頭に入れて、プロジェクト全体を俯瞰してみましょう。プロジェクト憲章、スコープ、WBS、スケジュール、コスト見積りから、品質 / 人的資源 / コミュニケーションおよび調達計画まで、PMBOK® ガイドの 9 つの知識領域にわたるプロジェクトライフサイクルの立ち上げフェーズと計画フェーズを見てみましょう。

 それぞれのアクティビティが重要視しているのは、事前に計画することと、同じ考えを持つようステークホルダー全員に計画を伝えることです。これらは、プロジェクトライフサイクルが順調に進むことを保証する基本的な尺度となります。

 次に、ミーティング運営においては、ミーティングガイドラインとチームに期待されることが明確になっているかを確認しましょう。もし明確でなければ、設定して提示しましょう。

 さらに、顧客やベンダー、下請け業者とは明確な契約を結んでおきましょう。営業が注目するのは、納品される最終製品と組織が受けとる最終価格だけです。変更がどのように要求されて承認されるのか、その料金はどうなるのかといった詳細についても、必ず明記しておきましょう。

 顧客はプロジェクトについて、どれくらいの頻度でどんな形で連絡をとることを期待しているのか、その手順を定めておきましょう。顧客はチームからの質問に答えられますか?  開発の進行に応じて、顧客はエンドユーザーにソフトウェアの機能をテストさせたがっていますか?

 約束事が明確なら友情も長続きします。これはどんなプロジェクト環境にも当てはまります。