【49】プロジェクトマネジメントの三位一体
プロジェクト・マネジャーが新しいプロジェクトを開始するときには、各チーム・メンバーが果たすべき役割を定義します。それぞれのスキルが必要不可欠である理由とそれぞれが果たすべき一般的な義務について、ドキュメント化しておきます。しかし、こうしたドキュメントには、プロジェクトライフサイクルにおけるプロジェクト・マネジャーの役割はあまり説明されていません。
プロジェクト・マネジャーにとって、特に新しいチームと仕事をするときに課題となるのは、方法論に深入りすることなく、30 分でプロジェクトマネジメントの要点を伝えることです。
最優先事項が割り当てられた作業をこなすことであるような、多忙な組織やチームメンバーと仕事をするとき、プロジェクト・マネジャーとしてのあなたの課題は、チームメンバーがミーティングの効果を損なわないよう、大事なポイントをできるだけ簡潔に伝えることです。そのポイントは「三位一体」と呼ばれ、「3 つの制約」としても知られています。
この基本概念をチームに導入するため、「3 つの制約」を説明したスライドを準備しましょう。これは 3 つの頂点に時間、コスト、スコープというラベルをつけた正三角形になります。中央にはスペースができますが、これがプロジェクトの品質を表します。この図はプロジェクト作業を幾何学的に表現したもので、三辺のどれか一辺が長くなると、少なくとも三角形のもう一辺もそれに合わせて変更しなければならないことを示しています。また、そうした変更はプロジェクトの品質にも影響を及ぼすことがわかります。
この「3 つの制約」に含まれる関係は、なぜ最初にスコープを定義することが必要不可欠であり、同時に大きな制約になるのかを説明しています。組織のプロジェクトマネジメント成熟度、あなたが指揮するプロジェクトのタイプ、プロジェクトマネジメントの取り組み成熟度、顧客との過去の経験によって、それぞれ異なる重要ポイントがあるかもしれませんが、以下がカバーできているか確かめましょう。
- チームメンバーの個人的参加の重要性。これにはプロジェクト計画の策定支援も含まれます。
- プロジェクトのリスク。何がリスクなのか、リスクの識別方法、リスクの回避策、軽減策、対処策の作成および監視方法。
- 各チームメンバーが完了すべき仕事を定義するために必要となるタスク分割。
- タスク割り当て、完了予定日、チーム全体におけるタスクの相互依存性、仕事が完了したか適宜フォローアップして確認するプロジェクト・マネジャーの役割。
- 起こり得るタスク完了遅延、タスクを時間通りに完了するための障害、障害を取り除くことを支援するプロジェクト・マネジャーの役割。
- コミュニケーション計画、チームメンバーのコミュニケーション義務、詳細計画を中心となって調整するプロジェクト・マネジャーの役割。
- プロジェクトのステータスミーティングの責務およびスケジュール。
- プロジェクト計画を明らかにするときに、プロジェクト・マネジャーとして実行する次ステップの概要。
すでに「成熟した」プロジェクト指向のビジネス組織である場合を除いて、プロジェクトの開始時に基本的なプロジェクト・マネジャーの考え方について説明することは、チームメンバーが自らに課せられた義務と受けられる支援について十分理解するために極めて重要になります。これにはプロジェクト・マネジャーとしてのあなたの役割を定めることも含まれます。