【07】立ち上がろう!

ウディ・ダーハン

 私たちアーキテクトの多くは、技術的な仕事を通じて育ってきました。その頃成功に必要だったのはマシンとの対話能力です。しかし、アーキテクトという地位に就いてからは、コミュニケーションの相手は人間になります。あるパターンを採用することによるメリットをデベロッパーに話す場合でも、ミドルウェア購入によるコストと効果のトレードオフを経営陣に説明する場合でも、私たちの成功を左右するのはコミュニケーションです。

 アーキテクトがプロジェクトにどの程度影響を及ぼすかを測るのは難しいことですが、はっきりしていることが 1 つだけあります。いかに「正しい」意見を持っていても、デベロッパーがあなたの指導を無視し、経営陣があなたの進言を取り入れなければ、キャリアアップにはつながりません。ベテランのアーキテクトは、アイデアは「売り込む」必要があり、そのためには効果的なコミュニケーションがなくてはならないことをわかっています。

 他人とのコミュニケーションの取り方については多くの本が書かれていますが、私が言いたいことは 1 つだけです。それは、単純で簡単に実践できることです。実践すれば、あなたのコミュニケーション能力は上がりますし、アーキテクトとして成功をつかむチャンスも広がるでしょう。何かと言うと、それは、複数の相手に自分の考えを説明するときには、いつでも立って話をしなさい、ということです。公式の設計レビューだろうが、何かしらの設計図をめぐる非公式な議論だろうが、同じです。他の人々が座っているのなら、なおさら立つのです。

 立ち上がると、自動的に威厳と自信が伝わるようになります。あなたがその部屋を支配するのです。他の人々は、あなたの話を遮らなくなるでしょう。あなたの意見が採用されるかは保証できませんが、これらの行動は大きな差を生みます。

 立ち上がってみると、自分が身振り手振りのボディランゲージをいつもよりうまく使えていることに気付くでしょう。10 人以上の人々を相手に話すときには、立ち上がることによって全員とのアイコンタクトもしやすくなります。アイコンタクト、ボディランゲージ、その他の目に見える要素は、コミュニケーションの中で大きな割合を占めます。立ち上がることによって声のトーン、ボリューム、スピード、高さも変わってきます。部屋全体に向かって声を響かせ、上から声が聞こえてくるようにすることも重要なポイントです。耳から入る要素も、コミュニケーションの効果を大きく左右しますから。

 アイデアを効果的に伝えたければ、何よりもまず、立ち上がることです。