【25】見られて恥ずかしいデータは使わないこと

ロッド・ベグビー(Rod Begbie)

夜遅くのことでした。私はページレイアウトのテストのため、サンプルデータを入力していました。

ユーザ名には、英国のパンクロックバンド、ザ・クラッシュのメンバーの名前を使いました。会社名には、同じく英国のパンクロックバンド、セックス・ピストルズの曲名を使いました。あとはティッカーシンボルを入れるだけです。そこで私は、卑猥な 4 文字の言葉を大文字で入れることにしたのです。

そう、皆さんご存知の、“F”で始まる言葉なんかを使ったわけです。

特に問題はないだろうと思っていました。自分や他のプログラマが面白がって見るだけのものだし、どうせ翌日には「本物」のデータソースに入れ替えることになっていたからです。ところが翌朝、プロジェクトマネージャが件の 4 文字言葉の表示されている画面のスクリーンショットをとり、あるプレゼンに使ってしまったのです。

 プログラミング中の、この種の「いたずら」や「武勇伝」はよくある話です。「まあ誰も見ないのだから」と油断していると、思いがけず多くの人の目に触れてしまうことがあるのです。

 露呈の仕方は様々ですが、いずれにしろ珍しいことではありません。しかし、関わったプログラマ個人や、開発チーム、あるいは会社全体にとっては命取りになりかねません。どんなパターンがあり得るか、例をいくつかあげておきましょう。

 「好事門を出でず、悪事千里を走る」というのは古くから言われることです。今の時代なら、なおさらそうでしょう。誰かの「あら」が見つかれば、その噂は、Digg、Twitter、Flib-flarb などにより、あっという間に世界中に広まってしまいます。担当者が寝ている間に、タイムゾーンの違う国に広まってしまえば、何も手を打つことはできないでしょう。

 ソースコードの中でさえ、まったく安心とは言えません。2004 年には Windows 2000 のソースコードの TAR アーカイブがファイル共有ネットワークに流出しています。その時は、ソースコードに卑猥な言葉、ふざけた言葉が使われていないか、grep で嬉々として調べている人間が大勢いました(実を言えば、その時に発見された // TERRIBLE HORRIBLE NO GOOD VERY BAD HACK「実に実にひどい、まったく良いところのない、最悪のハッキングだ」というコメントを私は気に入ってしまい、以来、何度か使ってしまっています……)。

 要するに、コードに何かテキストを入力する時は——コメントであれ、あるいはログ、ダイアログ、テストデータであれ——常に「これがもし公になったとして問題にならないか」と自問せよ、ということです。そうすれば、突然、卑猥な言葉が大写しになり、その場にいる全員が赤面するというような事態は防げます。