【74】スコープ変更に慣れよう

パベル・シムサ(Pavel Simsa)PMP
アメリカ、ワシントン州ベルビュー

 ソフトウェア開発プロジェクトとほかのプロジェクトに違いがあるとしたら、スコープ変更の発生がどれだけ不可避かという点でしょう。ほかのプロジェクトでもスコープ変更が決してないわけではありませんが、ソフトウェア開発ほど絶えずスコープが変動する業界はなかなか思いつきません。

 プロジェクトは 3 つの制約に支配されています。すなわち、コスト、時間、スコープです。

 幸運なことに、「あったらいいな」というフィーチャーは最も削減しやすいものでもあります。もしあなたが超高層ビルを建設しているなら、プロジェクトの途中で「プロジェクトを再び軌道に乗せるために、アーキテクチャ計画にあった 60 個のストーリーのうち 40 個だけを構築することにしましょう。後で時間があるときに、残りの 20 個を追加すればよいでしょう」とは言えません。

 ソフトウェアの場合、「計画を変更しましょう。リリース 1 では 2 つの OS だけをサポートします。後でもともとサポートする予定だった残り 2 つを追加しましょう」と言うのは、比較的容易です。

 ただし、これは理想的な解決策とは言えません。では、どうすればこれを避けられるのでしょうか?

 正直に言うと、おそらく避けることはできません。これがソフトウェア開発プロジェクトの性質なのです。あなたにできることは、スコープをもっと具体的に計画することです。「あったらいいな」というフィーチャーと他のフィーチャーとの相互関係を最初から特定しておきましょう。相互関係は重要です。「あったらいいな」というフィーチャーを削減するとき、それが「なくてはならない」ものと関係があると、開発アーキテクチャの変更を余儀なくされるおそれがあるためです。

 最初から実行可能なスコープ削減を計画しておくことで、いざというときに何を削減すればよいのか、どうすれば簡単に削減できるのか、適切な判断を下せるでしょう。