【26】ミッシングリンク

ポール・ワゴナー(Paul Waggoner)MBA、PMP、MCSE、CHP、CHSS
アメリカ、アイオワ州ウォーキー

 ソフトウェアプロジェクト・マネジャーにとって最も難しいチャレンジのひとつは、チームメンバーをタスクとスケジュールにアサインするだけでなく、プロジェクトの作業に「うまく」没頭させることでしょう。日々の業務遂行責任、トラブルシューティング、部門課題への対応、毎日のコミュニケーション対応といった日常業務と、プロジェクトのための時間制約のある業務を完了させることとのあいだで、チームメンバーは板ばさみになっているのです。

 開発者はプロジェクトチームに選抜されると、最初のうちは栄誉なことだと思うかもしれませんし、プロジェクトに参加することで毎日の気晴らしになると感じるかもしれません。しかし、いざとなれば、プロジェクトのタスクよりも担当システムの日々のメンテナンスとサポートの方が自分にとって重要であると率直に認めるかもしれません。

 プロジェクト・マネジャーとして、あなたは自分の仕事を優先しない、あるいは優先できない人をチームから追い出したくなるでしょう。しかし、ほとんどの組織では、対象分野の専門家(SME:Subject Matter Expert)の数は限られており、チームメンバーを変更したり、プロジェクトにもっと専念できる人をアサインすることは事実上不可能かもしれません。

 こうした問題の解決に役立つシンプルな提案をいくつかあげておきましょう。

 プロジェクトにうまく参加できている人は、組織のために「一層の努力」をしていると理解され、表彰され、報酬を与えられるべきです。大なり小なりプロジェクトにうまく参加できている人は、名指しで褒められるべきなのです。アジャイル界でよく言われるように、こうすることで組織の目標と従業員のモチベーションをうまく一致させ、「可能性を広げる技」を正しく見定めるのです。