【51】変化は来る、生き残っていくために

世古口 拓也

 ゲームは数年に一度大きな変化が起きます。ファミコンからプレイステーション、XBOX360 といったハードの変化や、2D から 3D、オフラインからオンラインといった表現、遊び方の変化。それに伴い、必要とされる技術も変化しています。

 業界の中で生き残っていくためにはそれに合わせて、あなたや、あなたの組織が大きく変化することを迫られる時があります。今まで経験してきたものを次の変化に活かすことが出来れば良いのですが、まったく未知のものに挑戦する必要も出てきます。

 私を取り巻く環境もある時期、大きく変化しました。

 ちょうど、国内でソーシャルゲームが世に出て、流行り始めていた時期だったと記憶しています。私はアーケードゲームの開発にそれまでは携わっていたのですが、ある日上司に呼び出されました。そして「次、今開発しているソーシャルゲームのサーバ構築と、その後の運営やってもらうから!」と言われました。

 それは、私にとって今まで経験してきたこととは全くの畑違いの仕事でした。WEB 開発の知識を取り入れる必要があり、対応する知識を 0 から積み上げなければなりませんでした。しかし、今所属している組織で私が生き残っていくには必要なことだと考え、それを引き受けることにしました。

 少し調べてみると「Linux、Apache は聞いたことあるなぁ」「RDBMS ってなんだ?」と、その時の私にとっては未知の単語が踊っていました。技術面でもそうですが、チーム構成も今までとは違い、スピード感も全く異なるものでした。ビジネス面でも、日々サービスを続けて売上を立てていく必要があり、その上で重要な MAU(MonthlyActiveUser;月間アクティブユーザー)、課金率、ARPPU(AverageRevenuePerPayedUser;課金している人が何円使ったかの平均)などの用語も初めて聞く言葉ばかりでした。とても不安に感じたことを昨日のことのように思い出します。さらに、当時、私の所属する組織では、その手の業務は新しく、先輩にも経験者がおらず、ほとんど誰にも頼ることができないこともさらに私を不安にさせました。

 数多くの困難があり、とても苦労しましたが、幸いにも一定の評価を得ることが出来ました。この仕事は今まで触れることの無かった多くの新しいことを学ぶことが出来、とても自身を成長させてくれました。今は引き受けて良かったと思います。うまく行ったから言える事かも知れませんが、自分たちで未知の世界を切り拓いた達成感があります。

 変化に伴い時には未知のことや望まないことに挑戦することがあると思います。失敗と隣合わせで不安に感じることもあると思います。しかしこの先、ゲームを作ることに関わり続けるためは必要なことかもしれません、思い切ってやってみるのはどうでしょうか。次の変化も必ず訪れます。その時にも、生き残り、より素晴らしいゲームを作り続けるために、挑戦し、学び続けましょう。