【26】リーダーシップとはなんぞや?

窪 洋一

 この仕事に携わり 20 年が過ぎ、そのほとんどを何がしかのリーダーという職務と共に経験してきました。今回は私が自分なりにリーダーとして大切にしてきた事について書いてみたいと思います。

 私は、学生時代は勉強もほとんどしない万年赤点学生でしたが、図工や美術だけは 5 を頂く事が多い人でした。やりたくない事はしないけれど、それ以外のやりたい事は全部やる! ゲームもその中の一つで、社会的に見れば「すごく偏った人」だったと思います。

 実社会に出て初めて経験するリーダーという職務。そんな事は教わる機会もありませんでしたので、いろいろな情報を見聞きし「これは……」と共感できる事はとにかく実践してみる。という事の繰り返しで来ました。私のような「自由人」が、中、大規模プロジェクトの一部署を担うリーダーとしての職務を果たして来た訳ですが、さて一体どうやってきたのでしょう?

 まずは大前提。「リーダーは、偉い人でも、凄い人でもなく」そして「自分は世の中の事をほとんど何も知らない。という事を知る」事が大切だと思います。

 ある程度の職能としての、スキル、スピード、という下地は大切ですが、それ以上に「人と人との和」「人を思う」事がよりよいリーダーの条件と思います。上下関係なく様々な人の話を聞き、自分の考えと違っていても、より正しいと思うのであればそれを選択する。人の話を聞く事は「相互通行なコミュニケーション」になりますので「参加意識」が自然と高まります。

 そして兎にも角にも「任せる」「見守る」「励ます」事です。人には誰にでも「強み」「弱み」があります。人のよい面の「可能性」に目を向けるのです。人は「安心感」と「任されている」という思いが強いほどに本来の自分の力を発揮します。うまく行かない時はアドバイスと共に「大丈夫だ。ここはいけてるぞ!」という「励まし」を与える事も大切です。そしてそれぞれの強みに合った、活躍の出来る場、チャンスを与えるのです。

 次は仲間や他部署の方に対する「敬意」です。他部署の仕事ぶりに対する「敬意」は、お互いのクリエイティビィティに火を点けます。そのために、どこの誰であっても容易に対話ができる風通しの良い雰囲気を作る事も大切です。

 しかし、時にプロジェクトが迷走したり、外的要因により仕切り直しが頻発する事もあります。そういった事が何回も、しかも長期に渡って続くと、士気は下がり、空気は澱み、緊迫した状況下では人は本来の力を発揮する事が難しくなってきます。誰がどう見ても「最悪だ……」と思える状況が続く時はとりあえず「笑う」事です。「笑いの力」は強烈で、ネガティブな雰囲気を一瞬でポジティブな雰囲気に変えてしまいます。「なんとかなるんじゃないか?」そんな気持ちになってくるものです。「リーダー自らが進んで馬鹿な事を言ってみせる」のです。失笑を買うのも大いに結構です。私は失笑される事も大好きです。そうする事で空気の澱みは少しずつでも晴れてきます。

 そして全力で駆ける時は遅かれ早かれ訪れます。その時はもう迷わずゴールに向かって、全員で突っ走ればミッションクリアとなる訳です。

 これが、万年赤点学生が模索してきた一つのリーダー像です。

 私にとってリーダーとは「人の力を引き出し、一人では不可能な偉大な事をチームの力で成し遂げさせてしまう人」それがリーダーだと思っています。

 皆さんのこれからの人生において、私の経験が何がしかの光となればこんなに幸いな事はありません。ここまで読んで頂き心から感謝致します。そして共に笑いながら、駆け抜けましょう!

 ありがとうございます!